
Vol.8 福井健人

福ト整体院院長。犬ト整体院院長。日本脊椎動物整体学会学会長、動物理学リハビリ国際協会理事、一般社団法人日本ペットマッサージ協会主事、A’s Technique 代表。
理学療法士として脳神経外科病院で11年間、人に対する臨床に従事。
その経験を土台に、関節内運動学をもとにした施術理論を人だけでなく動物へも応用し、独自に A’s Technique を開発する。病院退職後、「福ト整体院」を開業し、兵庫県芦屋市・大阪府箕面市にて「犬ト整体院」を展開。
現在は全国で、人および動物(犬・馬)に対する施術を行うとともに、医療従事者向けセミナーや技術指導も行っている。
2025年には 日本脊椎動物整体学会 を設立し、学問を中心とした徒手療法技術の普及に取り組む。
日本脳神経外科学会所属。日本脳神経外科学会にて複数の研究発表実績を有する。

身体の構造を理解することが、
本当の改善への第一歩でした
私はもともと、人の理学療法士としてキャリアをスタートしました。
特別なスキルを持っていたわけではありません。
ただ一つ、こだわってきたことがあります。
それが「構造」です。
よく「解剖学を軸に」と言われます。
しかし、その言葉にはずっと疑問を感じてきました。
何をもって「解剖学を軸にしている」と言えるのか。
例えば、人の足部は外側へ開く構造をしています。
これは歴史から読み取ると横方向への移動や回避動作、投動作といった生存戦略に基づいたものです。
一方で、犬の足部は内側へ収束する構造を持ちます。
これは前方への推進力を最大化するためです。
つまり、「構造は機能を作ります」。
この前提を理解せずに語られる「解剖学を軸に」は、どこか曖昧さを感じていました。
私は、構造を見ることで動きを判断しています。
正確には、「関節内運動を基準に、許容される運動と破綻している運動を判断する」ということです。
構造があるから機能が生まれる。
そしてその構造が崩れれば、機能は必ず破綻します。
だからこそ、検査測定は構造から始まるべきだと考えています。

検査・測定・理論を積み重ね、
誰もが再現できる技術を追い求めて
しかし現場には、「何となく触れば良くなる」という文化が存在します。検査や測定が曖昧で、結果も感覚的に語られる。
そこには客観性がありません。
私にとっての客観性とは、「測定可能であり、誰が測定しても同じ結果になること」です。
それが担保されなければ、技術は共有されず、発展もしません。
しかし現場には、「何となく触れば良くなる」という文化が存在します。検査や測定が曖昧で、結果も感覚的に語られる。
そこには客観性がありません。
では「良くなる」とは何か。
それは単に痛みが軽減することではありません。
「病理や状態を踏まえた上で、構造に対して本来発揮されるべき機能が発揮される状態」これが「良くなる」ということだと考えています。
私自身、特別な人間ではありませんでした。
しかし、構造と機能に基づいた技術を身につけたことで、地元だけでなく海外でも活動することができるようになりました。
重要なのは個人の才能ではなく、「再現可能であるかどうか」です。
手技そのものは再現可能です。
結果の差は、構造をどう解釈するかという知識と理解の差によって生まれます。
実際に、技術を学び始めた方が1年も経たずにスキルだけで生計を立てている例もあります。
これは特別なことではなく、構造に基づいた技術であれば誰でも到達可能であることの証明です。
本当に救いたいのは、
施術をする人も、支えを必要とする人も、
その先にいる命も
私は、目の前の人や犬だけでなく、施術を行う側にも手を差し伸べたいと考えています。
技術は、一部の人間だけのものではなく、共有されるべきものだからです。
戦時下のウクライナに行ったのも、同じ考えからでした。
「人も犬も困っている。どちらも救えるのであれば来てほしい」
そう現地で活躍する人に言われたとき、迷いはありませんでした。
私にとって、対象が人か動物か、あるいは国がどこかということは本質ではありません。
「目の前に困っている存在がいる」。
そして、自分の技術で変えられる可能性があるのであれば、行動しない理由はないと考えています。


「やれば良くなる」ではなく、
「良くできる技術」を未来へ残すために
私が最も価値がないと考えているのは、「やれば良くなる」という考え方です。
それでは広がりません。それでは残りません。
必要なのは、「良くできること」です。
私は、もしも目の前の方をより良くできる技術や方法があるのであれば、今の技術を捨てることをためらいません。なぜなら、技術を広めるのが目的ではなく、目の前の犬を良くしたいからです。

その中で現在、CACIOの講座を行うことで技術を広めていくことは大きな意味があると考えています。
既存の枠組みの中で動物分野に触れる機会が生まれたことは、
この領域を広げていく上で大きな一歩だと感じています。
ただし同時に、現状の延長線上だけでは、この分野は変わらないとも考えています。
だからこそ私は、技術を共有するだけでなく、
学問として成立させる必要があると考えています。

構造を共通言語に。
犬と人の未来を支える新しい学びを目指して
だからこそ私は、
動物分野における学会を設立しました。
目的は明確です。
⚫︎学問に基づいた検査測定
⚫︎客観的で論理的な思考方法
⚫︎現可能な技術体系の構築
その上で、構造に基づいた機能という共通言語で、この分野を再定義していきたいと考えています。
人と動物を分けるのではなく、身体という共通の構造として捉える。そして、検査・測定・理論・施術すべてにおいて再現性を持たせる。
技術を「個人のもの」から「学問」へ。
誰もが同じように結果を出せる世界へ。
その答えは常に学問の中にあります。
学び続ける世界
それが、私の目指している未来です。
福ト整体院/犬ト整体院
人の関節調整で培った技術をもとに、犬の関節に特化した施術も行っています。
関節の構造は人も犬も同じ「滑膜性関節」。その仕組みを理解したうえで、
動作改善・パフォーマンス向上・健康維持を目的としたケアを行っています。
